私が指導者になった理由
ある一人の中学生が教えてくれた、「結果より大切なこと」
昨年、Sfidaは20年を迎えました。
20年間、本当にたくさんの子どもたちと、そのご家族に出会ってきました。
「先生、家でも自然と挨拶ができるようになったんです。」
「最近は、自分の気持ちを話してくれるようになりました。」
「友達のことを気に掛ける姿が増えました。」
そんな言葉を保護者の方からいただくたびに、私は心からうれしくなります。
でも、私が子どもたちの「心の成長」を大切にするようになったのには、一つの出来事がありました。
今日は、その話をしたいと思います。
強いチームだからこそ感じた違和感
私が学生時代に所属していたのは、全国大会に出場する地域でも常連だった女子サッカーチームでした。
毎年のように全国大会を目指し、技術の高い選手が集まる、本当に素晴らしいチームです。
だからこそ、試合に出られる選手は限られていました。
実力のある先輩たちがいて、控えの選手はいつ出番が来るか分かりません。
年下の選手が試合に出場することもありました。
ある試合で、まだ中学生だった一人の選手がピッチに立ちました。
その子は、決して目立つ選手ではありませんでした。
でも、練習では誰よりも一生懸命。
誰よりも真面目で、誰よりも頑張る子でした。
ところが試合になると、緊張してしまい、自分の力を発揮できません。
ミスをしてしまうたびに、監督やコーチから厳しい言葉が飛びます。
きっと本人が一番悔しかったと思います。
「次こそは。」
そう思いながら、何度も挑戦していた姿を覚えています。
決めれば勝てる。その瞬間
試合は終盤。
その子の前に、決めれば勝利につながる絶好のチャンスが訪れました。
ゴール前へ転がったボールを追い、彼女は必死に走ります。
すると周りから、
「決めろ。」
「外すな。」
そんな声が飛び交いました。
もちろん、応援の気持ちだったと思います。
でも私は、その声を聞いた瞬間、彼女の気持ちを考えていました。
きっと今まで何度も、
「ここで決められなかった。」
そんな悔しい経験をしてきたはず。
だから今も、緊張でいっぱいなんじゃないか。
そう思いました。
そして気が付くと、私は叫んでいました。
「落ち着いて。」
「大丈夫。」
忘れられない一言
ほんの一瞬。
彼女の動きが止まったように見えました。
そして次の瞬間。
落ち着いてシュートを打ち、見事にゴールを決めたのです。
試合終了後、その子は私のところへ走ってきました。
満面の笑顔で、こう言ってくれました。
「めいさんの『大丈夫』って声が聞こえたから、落ち着いて決められた。」
「こんなふうに決められたのは初めて。本当にありがとう。」
その言葉は、20年以上経った今でも忘れられません。
ゴールが決まったこともうれしかった。
でも、それ以上にうれしかったのは、
その子がそこへたどり着くまでの努力を、一緒に喜べたこと。
結果ではありません。
そこへ向かうまでに積み重ねた時間を、一緒に認められたことが、本当にうれしかったのです。
私が作りたかったのは、そんな場所でした
その出来事をきっかけに、私は強く思いました。
上手な子だけが活躍するチームではなく、
技術がまだ未熟でも、
仲間のために頑張れる子が認められる場所を作りたい。
失敗した仲間には、
「なんでできなかったの。」
ではなく、
「大丈夫。」
そう言える仲間がいる場所を作りたい。
結果だけではなく、
そこまで努力した過程をみんなで喜べる場所を作りたい。
その想いが、20年前にSfidaを立ち上げた原点です。
20年経った今でも、この想いは変わりません
20年間、本当にたくさんの子どもたちと出会ってきました。
上手な子もいました。
運動が苦手な子もいました。
最初は泣いて参加できなかった子もいました。
でも、どの子にも共通していたのは、
「認めてもらえると、人は変われる。」
ということです。
誰かに信じてもらえること。
頑張ったことを見てもらえること。
「大丈夫。」
と言ってもらえること。
それが子どもの自信につながり、人としての成長につながっていく。
私は20年間、その姿を何度も見てきました。
だから今でも、Sfidaでは結果だけを追い求める指導はしていません。
子どもたち一人ひとりの挑戦を大切にしています。
そして20年間活動を続ける中で、もう一つ、大きな気付きがありました。
「この想いは、フットサルだけでは届けられない人たちがいる。」
そう感じるようになったのです。
その気付きが、新しい挑戦につながっていきます。
そのお話は、次回のブログでお伝えしたいと思います。
次回予告
第2話|20年間Sfidaを続けて分かったこと。保護者の皆さんが本当に喜んでくれた「子どもの成長」とは


